夏の旅 2013 その2
8月11日(前)
4時半起床。だらだらと準備をして、5時半出発。まずは朝飯を仕入れるため、コンビニに寄った。朝飯用にカルボナーラスパゲティと、適当に行動食を選んでレジへ。……店員の女の子がやたらと可愛い。AKBなんて目じゃないぜ。東北には美人が多いと言うが、間違いないな。
コンビニの駐車場に座り込み、ボケーッと空を眺めながらの朝食。やや雲はあるものの、いい天気だ。
今日の最初の目的地、龍飛崎を目指して海岸沿いの国道280号、松前街道を行く。風はやや向かい風か。速度は乗らないも、特に急ぐわけでもなし。雲間からむつ湾へと降り注ぐ陽光を横目に、ゆるゆると走る。
蟹田の町から一時国道を離れ、龍飛崎へのショートカットルートに入る。途中、幾度かオートバイの旅人と遭遇した。荷物満載のオートバイが俺を抜いていく。オートバイの旅にはオートバイの良さがある。
オートバイの旅を最後に行ったのはもう5年も前。自転車を始める前は、長期休暇の度にオートバイで旅に出ていた。春は九州・四国方面へ。夏は北海道へ。冬の北海道を走ったこともあった。今は練習をサボると調子が落ちてしまうので、オートバイによる長期の旅は控えている。いつかまた、オートバイでも旅がしたいものだ。
今別のコンビニで最初の休憩を取った。早朝のライドだというのに、水の消費が激しい。気温は既に26度をマークしている。東北でここまで暑いとは……今年の猛暑はホントに凄まじい。
今別からは国道に復帰し、しばらく走ってから再び国道から離れる。三厩駅を見るためだ。ここは津軽線の終着駅にして津軽半島最北の駅である。
最初本州最北と勘違いしていたが、本州最北は下北半島にあるようだ。
ここで自転車の旅人達と遭遇した。一人は男性で、本日開催の龍飛崎マラソンに参加するとのこと。三厩まで輪行し、そこから自走して会場に向かうとのことだった。もう一人は女性で、お盆休みで青森に帰省中とのこと。彼等と少しばかり雑談を愉しんだ。
全員目的地は龍飛崎なのだが、それぞれの予定があるので、各々で目的地を目指す。
三厩から龍飛崎へのルートには、あじさいロードというのがある。8月も半ばだというのに、道端のあじさいは、見事に咲き誇っていた。
このあじさいロード、国道に比べるとややアップダウンが激しい。しかしただ海沿いを走るよりは断然楽しいだろう。頑張って登って、下りでかっ飛ばす。時折木々の切れ間から見える海を眺めつつ、あじさいの道を走り抜けた。
龍飛崎はマグロの名産である。青森でマグロと言えば大間産が有名だが、龍飛産も同じ津軽海峡で取れているのだ。美味くない訳がない。しかし到着した時刻は9時前。こんな時間じゃどこもやってないよな……と思いつつ漁師の人に聞くと、帯島の民宿で食えるかもとのこと。喜び勇んで民宿へ向かう。
海峡亭さんはちょうど宿泊者(?)の朝食準備中で、大変忙しそう。それでも簡単なものなら、ということでオーダーを受けてくれた。
腹ごなし後、龍飛崎を観光する。最初に訪れたのは世にも珍しい階段国道。
ここは民家の間をぬって行った所に存在する。何枚か撮影した後、自転車を押しながら登った。
次に龍飛崎先端に赴いた。ライダーは先っちょ好きなのか、やたらと岬を目指す傾向がある。果たして自転車乗りはどうなのだろう? 旅チャリダーなら岬で良く見かけるのだが。
土産物屋で家族や会社への土産を購入し、宅配の手続きをして龍飛崎を後にした。龍飛崎の滞在時間は2時間ほど。うむ、まったりだな。今年のGWは四国でお遍路していたのだが、あの時は、
寺到着→読経→ご朱印取得→寺出発
を延々繰り返してるだけで、ほとんど観光しなかった。176回も般若心経を読経したため、今ではソラで唱えられる。ちなみに俺は、今も昔も無宗教だ。閑話休題。
今日は他に寄るところもなく、後は野宿場所まで走るだけ。クソ暑い中走り続けているから、温泉近くの道の駅などが望ましい。地図を見ると、深浦の方に黄金崎不老ふ死温泉というのがあった。近くに道の駅はないが、列車の駅はある。多分無人駅だろうと勝手に決めつけ、一先ずそこを目指して走った。
龍飛崎からは国道339号、竜泊ラインを行く。この道は、眺瞰台まで8キロ強ほど登る。
先ほど通ってきたあじさいロードとの分岐まで戻ると、幾人かのローディーが走ってきた。地元の人たちのツーリングだろうと思いながら、何人か抜き去るも、行けども行けども前方にローディーがいる。さすがに多すぎやしないか? と訝しむ。しかし答えが見つかるはずもなく。あえて聞くほどのことでもないので、抜くときに挨拶だけして先へ進む。
龍飛崎を出てから35分ほどで、眺瞰台に到着。展望台があったので、登ってみる。
中々の眺望だ。そしてこれから行く道。
まるで竜の背がうねるっている様。名は体を表す。
駐車場には結構な人数のローディーが集まっていた。そこには給水所なるものがあって、『津軽半島センチュリーライド』と表示されていた。なるほど、どうりでローディーが多いわけだ。
竜泊ラインの下りは爽快だった。自転車乗りにとって登りが試練なら、下りは試練後のご褒美だろう。途中、センチュリーライド参加者と思しき人たちや、車をパスしつつ、一気に下った。
道の駅こどまりで小休止をとってコーラを飲む。暑い日のコーラの美味いこと。ここまで95キロ。今日の行程の概ね半分ほど。まだまだ先は長い。
小泊からは大したアップダウンもない、平坦路。道の駅でたまたま一緒になったセンチュリーライダーと協力しながら走った。
十三湖でセンチュリーライドコースより外れて、広域農道に入った。この広域農道、いくら走ってもコンビニはなく、自販機もない。そもそも民家すらない。途中、トラックの運ちゃんから「乗ってくか?」と声をかけられたのだが、その時はまだ自販機ぐらいあるだろうと思っていたので、断ってしまった。
16キロほど走ったところで、ぼつぼつ水の残量が心もとなくなってきた。一先ず小休止がてら、次のコンビニを検索してみる。なんとまだ16キロ先。ルートを外れれば、9キロほどでコンビニはあるのだが、結構な遠回りになる。しばし逡巡した末、結局突き進むことにして走り出した。国道までは12キロほどで、そこまで行けば、自販機くらいはあるだろうと思ったからだ。
走り出してからずっと、「なぜあの時トラックに乗せてもらわなかった……」と後悔していた。暑いし水少ないし。「いやいや、せっかくここまで来たんだから、自分で走らないと」と奮起するも、すぐにまた後悔の念が強くなる。そんな思考を堂々巡りさせながら、5キロほど走ったところで、メロン直売所を発見する。
「すみません! 水もらえませんか!!」
「はい、どうぞー」
た、助かった。地獄に仏とはこのことだ。
ここの水は湧水らしく、よく冷えていて大変美味い。神の味がしたぜ。
「いやー、ホント助かりました。有難うございます!」
「どういたしまして。ほれ、これ食べな」
と、直売所のお兄さんがメロンを差し出してきた。これがめちゃくちゃ美味い。神の味がしたぜ(二度目)。さらにスイカまで出しくれての至れり尽くせりである。あの時トラックに乗っていたら、この味に出会うこともなかったのだ。先ほどの後悔なんぞぶっ飛んだ。
メロン直売所を出発して3分ほどで、「やっぱりトラック乗るべきだったよなー。いやいやメロン(以下略)」の堂々巡りになったけどな。
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