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2010年11月 1日 (月)

Cannonball!【TOKYO⇒OSAKA】 ⑩大阪

 まだ大阪の端っこに着いただけなのに涙とはなんたる不覚。でも仕方ないかな。ゴールできるかも危ういまま走り続け、ようやく大阪まで辿り着いたのだから。
 俺は小さく苦笑してから気合を入れなおした。ハンガーノックがいつ襲い掛かってくるかわからない。まだまだ最後まで油断はできないのだ。

 枚方入ってしばらくして、坂を登っていると一台のロードレーサーがいた。かっこいいなーと思いながら通り過ぎる。そのままたらたら走っていると横から声をかけられた。さっきのロードレーサーだ。

「キャノンボールの人ですか?」
「はい。え、まさか応援に来てくれたんですか!?」
「はい!」

 驚いた。24時間制限に負けた俺に現地応援が来るとは正直予想外だった。彼もかつてキャノンボールに挑んだことがあると言っていた。その時ゴールで応援者が待っていたことがとても嬉しかったので、今回俺の応援にきてくれたとのこと。しばらく談笑しながら走る。

「この先に小さな丘みたいな坂があるけど、それさえ越えればもう大きな登りはないよ!」

 彼はそこの頂上まで付き合ってくれた。「あとちょっと、がんばれ!」の声を背後に聞き、俺は「有難うございました!」と返しながら別れる。もう一つ最後に何か言っていたのだが、聞き取れなかったのが残念だ。

 ここでテンションの上がった俺はスピードも上がる!が、すぐにハンガーノックの兆候を感じ取り、あわててスピードを元に戻して飴玉を口に入れた。「自重しろ~」と苦笑しながらつぶやく。しかし苦笑してばかりだな。

 大阪に入って青看板の距離表示とサイコンの距離表示は、青看板の方が減りが早い。
(大阪は俺にデレた!)
 ペガサス幻想が頭に流れたり、めでたい脳みそは相変わらずだ。

 初心者の頃より遅いスピードでとことこ走り続けて残り10km。26時間まで残り35分
(このまま行けば26時間切りは可能そうだ……)
 しかしそうは甘くない。ゴールが近くなるにつれて、信号ストップが多くなる。残り6km、18分。俺はペースを上げたい衝動に駆られるが我慢する。
(ここでペースを上げてハンガーノックになったら一歩も動けなくなる。ギリギリまで維持。最後の3分で勝負をかける)
 そう決めて、刻々と過ぎ行く時間に耐え忍ぶ。

 赤信号で止まった。メーター上はゴールまで1km。実際の誤差は不明。俺は下ハンを握り締め、ダウンポジションを取り待ち構える。残り時間は3分12秒。信号が青になる。それと同時に残った力をかき集め猛然と加速。30秒でハンガーノックの兆候を感じ取るが無視。信号が赤になりストップ。が、すぐ青になり再加速。梅新東の交差点を過ぎた。
(次のはずだ……!)
 顔を上げると梅田新道の看板が見えた。


 この挑戦ではいろんな景色を見たり、出会いがあったり、ちょっと絶望してみたり、感動したり。
(まるで小さな旅だったな)
 大阪に入ってからそんな風に思っていた。本当に楽しかった。


 俺は走行データを確認する。

 走行距離:543.88km
 平均速度:20.9km/h(グロス)
      26.4km/h(ネット)
 開始日時:10/10(日)21:26:00
 到着日時:10/11(月)23:25:08
 所要時間:25:59:08


 26時間弱の短くて、長かった旅が終った。

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