サコライド

2012年1月28日 (土)

サコライド伊豆430 終章

 走行データが他の挑戦者と違うのは、サイコンの違いと思われる。しかしネットタイムに差がありすぎる……?
 確か途中計測していなかったとか言ってた気がする。


 ゴールと同時に、俺の電源OFF。というより断線?真っ白な灰状態。ホントに疲れたよ……

 完走おめでとう撮影後、マスターがスペシャルベリーオレを振舞ってくれた。

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 カフェオレボウルになみなみと注がれたスペシャルベリーオレの味は格別!疲れた身体に染み渡る。
 それだけでは当然足りないので、全員がサコッシュ・カレーを注文。

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 こちらも大変美味しかった。これ普通の時に食っても、かなりうまいと思う。

 全員過酷な旅を終え、店内でグッタリ。しばし今回の思い出を振り返りながら談笑した。

 キャノンボール24時間以内達成者3名の共通意見は、『キャノンボールの時よりキツかった……』である。
 コース的に東京⇔大阪間より厳しいのではない。真冬の寒さの中走ることは、とてつもなく消耗することを思い知らされた。
 それを聞いてみあぎ君、「じゃ、俺も達成者ってことでいいですよね?」と言うので、達成者全員で却下。ションボリしてた(笑)。それはそれ、これはこれ。
 でも彼のガッツと脚力なら、ずっと向い風とかじゃなければ、24時間以内達成できるだろうな。


 そして全員の共通認識。『この企画を一人で走り切った人、マジパネェ』だった。


 俺と閣下の住まいは静岡県な訳だが、「途中まで一緒ですねー」と話してた。俺は当然下北沢駅から輪行するつもりでいたのだけど閣下、「品川まで自走しましょー。10km程度ですよ」と来た。
 俺、激しく動揺。普段電源OFFってる時の俺は、1階から2階への階段昇るだけで疲れるんだぜ?ましてや今回は断線してんだっつーの。10kmとかマジキチ。
 ほとんど涙目で

 「マ、マジっすか!?」

 とこうである。閣下がパンク修理をしている間、激しく葛藤したけども、俺も一角のヘンタイ。ここで逃げたらヘンタイの看板を下ろすことになると思って、覚悟を決める。
 そんな俺を見てマスターが、

 「小田原まで輪行して箱根登って帰ればいいじゃない」

 ………………………………

 絶句。

 ……………………ぷちっ。

 「あんたちょっと同じことやってきてから言いなさいよ!!」

 それなりに礼儀を重んじる方なのだけど、この時ばかりは敬語も崩れてマジギレした(笑)。

 そんな一幕があったのだけど、閣下が戻ってきて、

 「バルブがうまく外れなくて修理できない。やっぱ下北沢から輪行しよう」

 と言ってきた。

 「マ、マジっすか!!」

 西伊豆のアップダウンが終った時よりも、箱根で勝利した時よりも、そしてゴールした時よりも嬉しかった!(爆)


 それぞれ健闘を称え合い、解散となる。みあぎ君は近所の兄弟の家へ。ばるさんは20km先、川崎の自宅へ自走(!)。閣下と俺は下北沢駅まで徒歩で行き、輪行。寒さと山と、涙あり笑いあり(時たまマジギレ)の1dayライドが終了した。

 マスター、面白い企画をありがとうございました!


 さて、これは終章だったのか、はたまた転章なのか。終った直後はしばらくロングライドしたくねーとほざいていたのに、既に2月のサコライド参戦計画が持ち上がってきている。


 まーなんでもいーけんども、次はこんな長文書かねー(笑)。

2012年1月27日 (金)

サコライド伊豆430 10章

 皆を待っている最中、サコッシュさんでいただいたハニースティンガーと、自前のアミノバイタルプロをチャージ。

 サコッシュシールが汗でグチャグチャ(笑)
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 少しでも回復に努める。全員合流後、第7CP箱根関所跡へ。写真を撮ってサコッシュさんへメンション。

 箱根関所跡。さみーぞ、ゴルァ!
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 俺    「そーいや、マスターが『面白い写真とか面白い呟き宜しくね』って言ってたけど、そんな余裕ないよなー」
 俺以外「「「自分でやってみてから言え!!」」」

 マジギレ状態(笑)。

 ちょっと止まっただけでも身体が冷え切ってしまったので、芦ノ湖畔のセブンへ緊急退避。ダウンヒルの寒さ対策のため、汗に濡れたインナー手袋の替えと、新聞紙を買った。
 店内で暖まった後、ちょっと外に出たらもの凄い寒気が来た。すぐさま店内に戻ったのだけど、寒気が治まらない。

 (無茶したツケか……俺、無事に下れるかな……)

 どうも体温調節機能が狂ったっぽい。不安に駆られたけど、いつまでもコンビニ内に居られるわけもない。

 箱根ダウンヒルは旧道を使う。旧道入口までの僅かな登りで、できる限りガンバって身体を発熱させた。
 ダウンヒルはブレーキ引きっぱなしでペダルを回しまくる。おかげで握力トレーニングになったよ(笑)。

 どうにかこうにか無事に下りきり、第8CP弥坂湯でサコッシュさんへメンション。

 箱根唯一の源泉かけ流し温泉らしい
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 またまた冷えた身体を温めるため、コンビニへ避難。でもすぐ近くにあるセブンではなく、R1に復帰してからのファミマとした。ここでばるさんはファミチキ食ったらしい( ゚д゚)

 こっから先、戸塚辺りまで、先頭は大体俺と閣下で回した。ばるさんには、戸塚以降を担当してもらいたいという思惑があった。あの辺はばるさんのフィールドだからね。特にそれを伝えたわけではないのだけど。
 ちなみに閣下が先頭に出る時、「30km/h以下でお願いします」と釘を刺すのを忘れない。ほっとくとあの人は暴走する(笑)

 あとはゴールまで悟りモードだったので、あまり記憶ないから駆け足。

 14:40頃、第9CP烏帽子岩前セブンイレブンに到着。

 セブンイレブン 茅ヶ崎サザンビーチ店
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 ここまで376kmほど。割と長めの休憩を取った。「烏帽子岩前って言われても分かりにくいよなー」とか話した記憶がある。ここでばるさん、ホットドッグを食ったらしい(|| ゚Д゚)

 400km近く走った後だと、遊行寺の坂程度でもしんどかった。「大阪⇒東京の時もしんどかったなぁ」と閣下がぼやいてた。

 戸塚以降は向い風を覚悟していたのだけど、珍しく追い風だった。「風が俺達に微笑んだ」「今なら中二ちっくな発言も許される」と、みあぎ君と笑い合った。

 微妙に食料が足りない。このままだと、また動けなくなりそうだった。途中一人コンビニに寄ろうかと思案していると、閣下がおやつ(コロン)を食べていたので分けてもらう。おかげで最後まで皆と一緒に走ることができた。

 「1kmがこんなに長く感じたのは初めてです」とみあぎ君がぼやく。なんか面白い返しをしようとしたけど、まったく思い浮かばず。仕方なしに無言で首を振ると、「なにも言うな、と……?」と言うので、うなずき返した。

 環七に入ってからの信号ストップで、空を見上げると星一つないことに気づく。それを指摘すると皆空を見上げて無言。多分、皆が伊豆で見た満天の星空を思い浮かべていたのではないか。

 ゴールまで数百メートルというところで閣下パンク。チューブレス故、一先ずゴールまで持てば良いと、インフレーターを出してスコスコ空気を入れた。

 誰が一番でゴールするか?という話になったのだけど「集団ゴールは同着だよ」と話す(俺いいこと言った!)。が、俺らが踏切やら車に引っかかっている間に、ばるさん一人で先行してゴール(台無し!)。ばるさん、3人からのブーイングにたじたじ(笑)。


 走行距離:432.77km
 平均速度:グロス 16.6km/h(時間 26:00’11)
        ネット 23.6km/h(時間 18:17’58)
 獲得標高:5,350m


 なお、公式タイムはばるさんゴール時となり、26時間弱である。

2012年1月26日 (木)

サコライド伊豆430 9章

 (あー、2年ぶりだ、この感覚……)

 こうなった時の俺はちょっと強いよ?ゴールするか、気絶するまで全開走行を続ける。

 (でもやべーなー、これ。この後走りきれるかなー)

 頭の片隅に一抹の不安が過ぎるものの、今更止まるつもりは毛頭なかった。この先のことなんて知らん。

 (なるようになっちまえ)

 彼我の距離は一気に狭まり、ゴールまで残り500m地点で閣下の背中を捉える。

 (3人目……撃、墜……!)

 そのまま一気に抜き去った。

 「マジかーー!!!?」

という閣下の雄叫びを背に受け、決定的な差を作るため、シフトアップしてダンシング。12回のダンシング後、シッティングに移行してシフト……ダウンしちゃった(笑)。
 まー、34×21以上だったからいいよね?

 ゴールは箱根峠交差点。そこまで350mは平坦路となる。

 (もしかしたら追い上げてくるかもしれない)

 後を振り返る行為は無駄。その分の力も全開走行に費やす。チェーンホイールをアウターに入れ、下ハン握ってペダルを回す。
 心拍計は176をマークした。嘔吐感が込上げてきたけど、(ゴールはすぐそこ!)と言い聞かせて最後まで全開。
 タイムは57分26.7秒でした(ローソンニュー箱根店⇒箱根峠交差点)。

 レースでもないのに何をやってるんだ、俺は(笑)。

 ゴール地点を過ぎたら、そのまま惰性で進むに任せ、道の駅箱根峠へと至る。自転車を降りた時、全身ガクガク。噴出す汗の量も半端ない。ふらふらになりながら、売店内に入って後続を待った。

 順位は

 1位 俺
 2位 閣下
 3位 みあぎ君
 4位 ばるさん

 みあぎ君とばるさんは、まさかの閣下撃墜に驚愕してた。閣下からは「あの時のざくさんは神懸っていた」とのお言葉を頂戴いたしました。

 ダイショウ ハ デカカッタ ヨ……

 この後サコッシュさんまで、ほとんど悟りモードになった。というか、思考に回す体力の余裕がなくなった、と言うべきか。

サコライド伊豆430 8章

 大瀬までの長いダウンヒルは爽快だった。早朝故道を塞ぐ車もなし。

 しばらく俺が先頭を引いた。しかし井田の登りが終ったと同時にすっかり気持ちも切れ、向い風も手伝ってテンションだだ下がり状態となり、トロトロ走る。

 箱根まで平坦と言ったが、さすがにちょっとした坂くらいはある。それを見てみあぎ君が「もう登りはないっていったじゃないですか~」と言ってきた。俺が「すぐ終るから大丈夫だよ!」と答えると、「そうですか!」と言い残してアタックを始めた( ゚д゚)
 あっという間に差が広がっていく。俺はみあぎ君が、伊豆半島前半戦で脚を攣った時の事を思い出して、

 (ア……アレは一体何だったんだ!!!)
 「何だったんだよぉーーーーー!!!」

 と、さながらテルに向かって叫ぶハリス・リボルバーの如く、叫びはしなかったけども(笑)。まー、そんな感じの驚嘆でした。置いてきぼり喰らった3人は「すげーガッツだ」「さんざん越えて来たアップダウンで溜まった鬱憤をぶちまける様だ」などと話し合う。そのまま第6CP伊豆三津シーパラダイスまで先頭を引きまくってくれた。

 営業開始前のシーパラダイス入口
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 俺         「あの鬼引きは、一体全体なにが起きたんだい……?」
 みあぎ君「なんか分かりませんけど確変はいりました~」

 なんの確変だよ(笑)。さすがこんな罰ゲーム企画を持ってきた漢、只の変態じゃなかった。

 むしょーに腹が減っていたこともあり、近くのコンビニで小休止。走行距離は300km近くに達し、時刻はそろそろ8:30になる。予定していた休憩ポイントじゃなかったけども、皆疲れていてどーでもいいって感じ。
 ここでピザまんを購入……したのだけど、何故か袋には肉まんが入っていた。変えてもらいに行くのも面倒臭いし、そのまま食べたのだけど、めちゃくちゃウマい!! 俺の生涯最強の肉まんになるんじゃないか……マジでそう思えるほどの味だった。

 とりあえず箱根登る前にファミレスで大休止しようという意見が出、満場一致で可決。当初サイゼリヤにしようと思っていたのだが、営業時間外のためデニーズとなる。

 「俺の家、ここから5分なんだよね……」

 そう呟くと、『キサマ敵前逃亡は銃殺刑だぞ、分かっているな!?』的な気配が3人から立ち上っていたので、呟くだけに留めて置く。いや、俺だけ布団で休みたいなーってだけだったんだけど(´∀`)。ん?家狭くて4人もはいらねーよ(笑)。

 デニーズはモーニングメニューの時間帯。それをみてばるさんが残念そうに、

 「肉とかガッツリ食べたかったのに……」

 そうのたまった。他の3人ドン引き(笑)。おま、夜通し300km以上走ってきてその食欲はどういうことだよ!?
 序章にあった彼の紹介文にある鉄人とは、鉄(の胃袋を持つ)人という意味が多分に含まれる。なお、この後止まったコンビニでファミチキやらなんやら、脂っこいもん食いまくったようだ((((;゚Д゚))))

 デニーズでは1時間半くらい休んだだろうか。朝っぱらから汗臭い4人組がグッタリしていた訳だけど、異臭騒ぎにならなくて良かった(笑)。

 さて、今回のメインイベント、箱根である。登る前に必要物資補充のため、ローソンニュー箱根店でストップ。そして出発、という段になった時、閣下、

 「箱根、タイム録るよね?」

 え?それバトルしようって事??みんなもうボロボロ状態だよ???ってーかなに、その本日一番の素敵な笑顔。

 閣下に逆らうなど、我々にできるわけがなかった。なんか知らんけど箱根バトル開始。まずは閣下が勢いよく飛び出していく。そしてばるさん、俺、みあぎ君の順で塊となって登坂。が、しかしすぐにクライマーみあぎ君が、閣下撃墜に向けてダンシングで飛び出していく。
 少しずつ離れていくみあぎ君に引っ張られるかのごとく、ばるさんもズンズン登っていく。

 俺?俺はねー、なんかどーでもいいっつーか無心状態。ギヤは34×25でえっちらおっちら、ほとんど悟りに近い状態で登ってた。小さくなって行く3人を見ても無感動。がんばるなーとかぐらいは頭の片隅に浮かんだか。
 そうして箱根登坂も3分の2、もうすぐ山中城址というところ。この辺りは大分先まで見通せるのだけど、先行する3人が影も形もない。

 (あ、まずいなー。あんまり遅くなって待たせちゃうと悪いなー)

 と思い、シフトアップ。

 (お、意外に脚回るねー)

 山中城址を過ぎ、民家が立ち並ぶゆる勾配ポイントでさらにシフトアップ。ギヤ比は34×21。今まで心拍150台だったのが、160を越えた。

 ゴールまで残り5km強。この時点でトップを走る閣下との差は、1kmくらいだったと思う。

 『登坂中のギヤチェンジとは、常にシフトアップであり、ダウンであってはならない』

 まさに〝理想論〟である。どっかの鳩村さんじゃねーけんども、この時俺はなんとなく「この先ゴールまでシフトダウンはしねー」と決める。

 ゆる勾配ポイントが終わり、お寺入口前のカーブを過ぎたところでばるさん捕捉。

 「追いついた~」

 と一言だけ残し、1人目撃墜。みあぎ君にも追いつけるかなーとか思いながら、しばしペダルを漕いでいると、ほどなくしてみあぎ君捕捉。

 (うーん、あれ抜くのめんどいなー。でも追いついたってことは、俺のほうが速いペースで登ってる……?)

 そう思った瞬間、戦闘モードに移行。心拍が170に達する。

 (こんだけ走ってきて、まだこんな心拍が出せるのか……)

 息を荒げて登りながら、俺の中のどこか冷静な部分が、そんなことを思う。

 みあぎ君をぶち抜く時、何か言おうかなと、一瞬考える。だがしかし、戦闘モードに入った俺は、その体力はタイムを削ることに使う事を選択。抜き去る瞬間、片手を上げるのみにとどめた。

 「ウソ、追いつかれた!?」

 みあぎ君の叫び声を後方に置き去って、2人目、撃墜。

 (さすがに閣下に追いつくのは無理だよなぁ……)

 そう考えながら、後方の追い上げの意思を断つため、ペダルを緩めることなく漕ぎ続ける。

 箱根登坂も終盤2km。左へ大きくカーブした先で、俺の視界はついに閣下の姿を捉えた。


 同時に、俺の中に神が降りる……!

2012年1月25日 (水)

サコライド伊豆430 7章

 俺               「ごめん、俺ちょっとここで寝るわ」
 閣下        「あ、俺も俺も」
 ばる&みあぎ「「……!…!?」」

 ばるさん、みあぎ君にとってはありえない行動だったろうな(笑)。

 待たせるのも悪いので、「先に行っていい」と言ったのだが、2人は躊躇している。「それならこの先にセブンがあるから、そこで待ってて。10分ほど仮眠したら俺らも行くから」と言うと、ようやく彼らは先に行った。

 自転車を壁に立てかけ、俺と閣下は歩道に寝転がる。地面が冷たくて眠りにくかったが、どうせ仮眠。一瞬でもまどろむ事ができれば一時的にでも眠気は飛ばせる。

 ホントに一瞬だが、意識が落ちた。あとはうとうと、という感じ。

 夜明けはまだだったけど、ボツボツ人が活動を始める時間帯。トンネル内を猛スピードで車が通過する。その度、俺達の寝床が揺れて、ふと(今東海地震起きたら生き埋めになるな……)なんて考えてしまい、一気に目が覚めた(笑)。

 10分でアラームが鳴り、起き上がる。

 閣下「あー、スッキリした。あのままだったらヤバかったよ」
 俺   「俺も一瞬でしたけど眠れて、大分マシになりましたー」

 トンネルを抜けてセブンで合流。再び4人で第5CP目指して走り出す。

 執拗なアップダウン、寒さ、風……次から次へと襲い掛かってくる事象に、肉体はもちろんのこと、精神も消耗し尽くしていた。それでも仲間と話して笑い合い、どうにか気力を保てる。

 (つくづく思うのだが、一人で走っていたら、どっかで心が折れてたかもな……)

 基本単独行動を好むのだが、この時ばかりは仲間がいることに感謝した。と同時に、単独でサコライド伊豆430をクリアした人に戦慄を覚えた。

 土肥までの緩やかなアップダウンを越え、第5CP花時計前にて写真撮影。

 土肥から戸田までのだらだら登りに取り掛かっている最中、ついに夜明けを迎える。

 戸田でコンビニに入ろうとしたら、営業時間外だった。一先ず自販機でココアを買い、皆無言で海を見つめている。

 ふと目に入った看板の文字には『やすらぎ半島伊豆』とあり、全員で「どこがじゃ!!!」と理不尽な怒りをぶつけた(笑)。

 伊豆半島一周は、戸田までくれば終わりが見えてくる。「激坂登坂を2つ終えれば、箱根までは平坦です」と伝えると、ややうんざりとした顔。「距離は短いですよー」と言って皆を鼓舞する。

 いきなり10%越えの激坂が始まり、先行するのはばるさん。ヘビー級選手なのに、あの登坂力には恐れ入る。閣下とみあぎ君は自分のペースでゆっくり登っている。俺は「ここ登ったところにある出逢い岬からの眺めがサイコーなんですよ」と言った後、ばるさんを追いかけて、勢い余ってぶち抜いて、出逢い岬に到着。

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 出逢い岬からは戸田の街並と弓ヶ浜が一望できる。もし伊豆半島を巡るなら、是非寄ってほしい。写真では切り取れない眺めがそこにある。

 また少し登って井田まで下る。

 俺「次です。次の登りで最後ですよ!」

 井田集落入口辺りで、「昔ここでスポーク折れたんですよー」なんて話していると、最後のアホ坂が見えた。初見のみあぎ君から渇いた笑いが漏れ聞こえる。
 
 俺「大丈夫、ここから見るとHIDOIけど、登り始めてみると見た目ほどじゃない!」

 そう言ってあげたが、疑いの眼差ししか返ってこなかった(笑)。だがまー、登り始めたら「確かに見た目ほどじゃないです」と言ってらした。


 (もうすぐだ、もうすぐ井田トンネルが見える……)

 俺「あの柵が見えたらもうトンネルが見えるはず。そしたら登りは終わりです!」

 そう言い置いて、確かめるために身体に鞭を入れて全力登坂。柵を過ぎてカーブを曲がるとトンネルが……見えた!

 俺「うっしゃーー!! 終ったあーーーーー!!!!!」

 早朝の西伊豆に、俺の咆哮が木霊する。

サコライド伊豆430 6章

 時刻は午前4時になろうとしていた。第4CP長八記念館前にてサコッシュさんにメンションを行なった後、すぐそこにあるサークルKへピットイン。先ほどエネルギー補給をしたばかりだというのに、通常のハンガーノック状態に陥って、僅か数百メートルの距離をヘロヘロと進んだ。
 ……あれ?閣下とみあぎ君が来ないぞ?どうしたのだろうと思ってしばらく待っていると、2人が一緒にやって来る。どうしたんです?と尋ねると、どうやらさっき長八記念館だと思ったところは美術館で、間違いだったらしい。それに気づいたので、長八記念館を見つけて写真を撮っていたとのこと。

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 サークルKでは全員カップラーメンを買い、店の外でズルズルと啜る。どれほど有名なラーメン店とて、この時食ったカップラーメンの味には敵うまい。五臓六腑に染み渡るとはこのことだ。冷え切った身体に活力が戻ってくる。

 しかし極寒の伊豆半島を夜通し走るとか、正気の沙汰ではない。いったいなんの罰ゲームだよ……俺はみあぎ君を見ながら、

 俺      「誰だよ、今回こんな罰ゲームに誘った戦犯は」
 みあぎ「お、俺はつぶやいただけで焚きつけたのはばるさんですよ!」
 ばる   「いやいや、やるならついて行きますよ?と言っただけです」

 大体あなたは勝手に乗っかったんでしょ!?と2人は目で物語っていた。あーそーだよこんちくしょー。
 ちなみに閣下は、罪の擦り付け合いが行なわれているその横で、美味しそうにラーメンを啜っていた。ブレないな、この人(笑)。

 この時、「ファミレスがあったらしばらく休もう」という意見が出たが、ここは西伊豆。そんな洒落たもんがあるはずもない。一応コンビニの店員さんに確認したのだが、答えはノーだ。松崎で無ければ土肥にもなかろう。
 
 寒くなると眠くなる、これはガチ。一先ずコンビニ休憩でリフレッシュしたものの、走り出してすぐに眠気に襲われる。

 閣下「コンビニの床で寝さしてくれるなら、迷わず眠るんだけどねー」
 俺   「俺もですー」

 この二人の眠気は限界に来ていた。

 黄金崎前の下りで、一瞬意識が飛ぶ。(ヤバい。これは死ぬかもしれない)と思うものの、この寒さの中、路上で眠れるはずもなく。

 (結局は走り続けるしかないのか……)

 この時の絶望感と言ったらもう、ね……が、

 (…………?)

 唐突に俺を包む空気が変る。

 ここは黄金崎トンネル。長さは1km弱におよぶ。風はなく、暖かい。左手にはそれなりに広い歩道……俺は迷わず決断する。


 仲間達よ……俺の屍を越えてゆけ

サコライド伊豆430 5章

 松崎までのコースプロフィールを紹介しよう。

 距    離:34km
 平均斜度:登り5.9% 下り6.1%
        ※備考 ところどころ8~11%の激坂区間あり。
 獲得標高:916m

 ここを走っていると、下ることが嫌になってくる。なぜなら、下る=また登る、ということなのだから……

 最初の登りを終え、高台から月明かりが照らす暗い海を望みながらダウンヒルに入る。登った後のダウンヒルって気持ちいいよね♪

 いきなりだが以下の数式の答えを求めよ

 (200km走行済+峠のダウンヒル+丑三つ刻+冬の冷気)×風

 辛い、苦しい、死ぬと思った人、不正解。

 答え:!!?

 筆舌に尽くせないものがあります。答えが知りたい方は自分で体感してください。

 冬の海風は凶悪。いきなり左側面から叩きつけるような風が吹き、ハンドルを取られて右に流される。(ヤバ……!)と思って体重を左側にかけて対応……したら、崖に跳ね返った暴風が、右側面から襲い来る。
 一瞬たりとも油断のできないダウンヒル。死の恐怖を感じながら、(みあぎ君、ディープリムだけど大丈夫かしら……)と頭の片隅に浮かんだが、後を振り返る余裕などない。

 どうにかこうにか海岸沿いを過ぎ、スピードを落として待っていると、遅れ気味だったばるさん、みあぎ君も追いついてくる。全員共『生きてて良かった……』みたいな雰囲気を醸し出しつつ、この先もこんな目に合うのだろうかと、不安な表情を浮かべていた。

 いったい幾つの山を越えてきたか……数えるのもバカバカしいアップダウンを越えて、ようやく松崎町の灯りを視界に捉えた。道路脇には、ライトに照らされ、夜闇の中でぼぅーっと不気味に浮かび上がる謎の石像群。登りで苦しみ、下りでは寒さにやられ……闘い続けてきた肉体は、ついに限界を迎える。

 (……腕が痺れてきた……?)

 そんなバカな。ほんの30~40分前にミニアンパンを食べたところだぞ!?と、混乱するものの、一先ず皆に声をかけて緊急停止。

 この状態を正式になんと言うのかは知らない。俺は勝手に『ハンガーノックを越えたハンガーノック』と言っている。
 「直ちにエネルギーを摂取して下さい。でなければ倒れます。」という肉体からのストップサイン。

 普通ハンガーノックになったら、力は入らないが少しは動ける。
 このハンガーノックを越えたハンガーノックは、それとは別。腕の痺れを感じて、その状態を放置するとどうなるか?
 段々と痺れが全身に行渡り、そうして指一本動かすことすらままならなくなる。身体が一切動くことを拒否するのだ。
 初めてこんな状態に追い込まれたら恐怖を感じるかもしれないが、それほど焦ることはない。不思議なもので、腹に食料を入れて1~2分も経つと、痺れも治まり身体が動くようになる。

 強度的にはそれほど追い込んでおらず、エネルギー補給を怠っていたわけでもない。だというのに、前兆すらなく突然それが来たので驚いた。
 おそらく寒さに対抗するため、いつも以上に体力を使っていたのだろう。メイタンサイクルチャージを摂取し、待つこと1分。気持ち痺れは残っているものの、身体に力が戻ってきたので出発。松崎の町はすぐそこだ。

2012年1月24日 (火)

サコライド伊豆430 4章

 第2CPの城ヶ崎海岸駅で俺以外がサコッシュさんへメンションする。その間にみあぎ君のハンドルへSG-329を取り付けた。
 駅員さんから、「乗られますか?」と聞かれる一幕もあったり。真夜中にピチピチタイツを履いた男4人。さぞかし不審な集団と思ったことだろう……(^^;
 ここまで140kmを7時間弱。時刻は23時を回ろうとしている。トイレを済ましてさっさと出発。
 走り出してすぐに、「ちょっとライト点けてみて?」と言うと、みあぎ君ライトON☆

 みあぎ「すげー明るい!」

 感動してらした(笑)。
 電池消費激しいから、「下り限定で使用してね」と言っておく。これリチウム電池なんだよーなんて話していると、閣下が「うわ、贅沢品!」と。だから最終兵器なんだってば(笑)。
 
 さてさて、こっから俺は2灯装備になったわけだが、さして問題はない。どの道宇佐美の下りでしか使ってなかったし、キャノンボールの時だって深夜の金谷&鈴鹿峠を、この2灯で乗り切っているのだ。
 だがしかし、超明るくて楽しいのである。おまけに電池が高い……みあぎ君、


 な ん か 恩 返 せ ! (爆)


 城ヶ崎海岸から下田までの道を淡々と進む。途中白浜ら辺で、何のために作られたのかわからない『尾ヶ崎ウイング』とやらがある。「これなんなんすかねー」とか閣下に振ると、「そう言えばブルベの伊豆600の時にトイレ休憩したなー」とかおっしゃってた。
 後で調べてみると、どうやら展望台。総事業費2億6千6百万円だってさ。今度寄ってみよ。

 次なる休憩ポイント、ローソン下田5丁目店に1時ごろ到着。ここでレッドブルチャージ。寒い中の長時間ライドに消耗していた身体に活が入る。

 ここから多少のアップダウンを越えれば、石廊崎までは平坦快走区間である。スピードマン、ばるさんが先頭を引く。2時前には第3CP、石廊崎に到着した。

 やけに輝く3人。特に閣下(笑)
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 石廊崎灯台見に行きます?と俺が振ると、ばるさんが激しく拒否反応。スーパー激坂登るからね。振った俺だって嫌だわい(笑)。でもみんながノったりしたら、後悔しつつも登っただろうな(´∀`)

 俺は石廊崎を出発する前に、メイタンサイクルチャージ・カフェインプラスとアミノバイタルプロをチャージする。来る途上も散々言ってきたのだが、石廊崎~松崎の区間は伊豆半島中最恐ステージ。ぶっちゃけここに比べたら、箱根越えですら生温い。今一度全員に覚悟を決めるよう促した。


 200km近い距離を走り続けてきた俺たちに、西伊豆の過酷なアップダウンと、真冬の冷気が牙を剥く。ここより極限が始まる。

サコライド伊豆430 3章

 前述の通り、ミニストップをスルーしてしまったので、次の休憩場所をどうするかという話になる。

 俺「ちょい走りますけど、この先の伊東市街にセブンがありますので、そこでどうでしょう?」

と、提案し、そこに決まる。伊東の海岸沿いは平坦な快走路。さくさく進んでセブンイレブンに辿り着く。ちなみに俺が半島一周する時は、いつもここに止まっている。
 こんな田舎で、夜中に自転車盗む奴もおらんだろうと思うのだが、みんながトイレ&買い物している間、誰かが出てくるまで勝手に見張り番してた。その時、地元のアンちゃん達に話しかけられる。

 アンちゃん達「これいくらぐらいなんですか~」
   俺     「いやぁ……」
 アンちゃん達「50万くらい?」
   俺     「えーっと……」

 俺、超歯切れ悪い(笑)。

 アンちゃん達「100万くらい?」
   俺     「ちょっと届かないくらいでふ」(^^;

 アンちゃん達ドン引き(笑)。そりゃ俺もやり過ぎだと思ってるよ!だから歯切れ悪いんじゃないの~(笑)。
 その後ちょこっと談笑したり。これから半島一周して下北沢まで行くって話したら、「こんな軽装で!?」って言われて、さらにドン引きしてた(笑)。

 伊東市街を抜けると、一時国道より離れて川奈方面の県道に入る。より暗い道をゆくことになり、(みあぎ君は大丈夫だろうか……)と不安に思う。この時俺は、みあぎ君の前を走っていたので、なるべくスピードを抑えて下り、目標物になるよう心がけた。

 (しかしこのままでは心が折れてしまうだろうな……うーむ、俺のハブライトを貸すか……)

 やや葛藤する。超明るくてテンションあがるんだぜ?こいつでの夜間ダウンヒルを楽しみたかったな……などと思ったけど、このままじゃ危険すぎる。第2CPで止まったら取り付けてあげようと決意。SG-329はバイクガイのライトホルダーで取り付けているから、取り外し&取り付けが簡単なのよ。

 左手を見れば真っ暗な海に月明かりが漂っていて、それはそれは幻想的だった。

 東伊豆は西伊豆に比べればぬるいとはいえ、やはりアップダウンが続く。そして真冬なためダウンヒルがクソ寒い。手が悴んできてブレーキの握りが怪しくなってきた。(やべーなー。カイロもってくれば良かった……)と思いながら手を思いっきり振って、血を指先に送った。
 下りきってまたまた登り。前を引くのは閣下。登りの心拍は160強。やや強度は高いか。ふと横を見ると、みあぎ君がダンシングを多用していることに気づく。

 (これはまずいんじゃないか)

と思った直後、「脚攣りました!」の声が。取りあえず先行する2人に声をかけ、一時休憩。俺と閣下、ばるさんに「やりすぎです」とちょっと怒られた(´・ω・`)
 初めての1dayライドに対する不安、暗闇でのダウンヒル、そんなものが身体能力及び耐久力を著しく下げていたのだと思う。
 気分転換になるよう、「星がキレイだねー」とかあさって方向の話題を振ったりした。まぁ、マジで満天の星空ですげぇ綺麗だったのよ。この企画がなければ、夜間の伊豆半島一周なんて、一生することはなかっただろう。この星空を見れただけでも挑戦した価値はある、そう思えた。

 みあぎ君が「もう大丈夫です」と言ったところで、出発。今度はばるさんが先頭を引く。ちょっと進んだところで川奈小学校前の激坂区間に突入する。抑え気味のペースで登る……おい、心拍が160強なんだが(笑)。キサマ俺達に怒ったのはいったいなんだったんだ!と思いながら苦笑を浮かべ、登坂を続ける。
 この頃にはやや暖かくなり、手の悴みも消えた。やれやれ。

サコライド伊豆430 2章

 早川駅を出発し、細かいアップダウンを抜けて熱海市へと入る。熱海の夜景はなかなかに乙。左手を見れば真っ黒な海に吸い込まれそうになる。この道を走るのは3度目だけど、まさかこんな夜中に走ることになるとは夢にも思わなんだ。
 熱海に向かう途上、やや向い風の区間があった。その時突然ばるさんが飛び出していく。

 (向い風のスペシャリスト……!)

 喜々として先頭を引く変態の背中が「俺についてこい!」と語りかけるようで、頼もしく思う。
 途中、「向い風の微妙な登りとか最悪だよなー」とぼやくと、みあぎ君が「そもそも向い風好きな人なんていませんよ~」と言うので、真顔でばるさんに向かって指を指し、「そこにいるよ」と言うと、ド変態を見る目つきをしていた(笑)。
 
 走っている時、突然落下音。(え?)と思ってトップチューブバッグを見ると、カバーが開いている。小さい段差で携帯がバッグから零れ落ちる。ストラップでバッグに取り付けていたので、そのまま落下、とはいかなかったけど、ホイールに当たった後、携帯のカバーが取れてついでにストラップも外れて落下。
 取りあえず携帯は無事だったのだけど、予備バッテリーとアミノバイタル2個も落下していた。バッテリーとアミノバイタル1個は、みあぎ君と閣下が拾ってきてくれた。その節は有難うございました!
 アミノバイタル1個は残念ながら紛失したけど、その程度で済んでホントに良かった。

 熱海市街を抜け、次の休憩ポイント、宇佐美のミニストップを目指す……のだが、スルーしてしまった。この時俺が先頭だったのだけど、てっきり国道沿いにあるものだとばかり思っておりました(´・ω・`)
 俺以外はみんなGPSナビ持ちなんだよね。うらやますぃ。そしてごめんなさいorz
 宇佐美手前のダウンヒルは中々に爽快なのだが、いかんせん真っ暗すぎる。恐怖であまり攻めることができない。ここで、西伊豆まで使用予定のなかったハブライト(ジェントス閃SG-329)を点灯。

 (めちゃくちゃ明るい……!)

 今回は【ヘッド】ペツル ミオXP(光量80ルーメン)、【ハンドル】ジェントス閃 SG-325(光量150ルーメン)、【ハブ】ジェントス閃 SG-329(光量200ルーメン)の3灯装備。この内常時点灯はヘッド、やや灯が必要と感じた時にハンドル、最終兵器がハブと設定した。
 ミオXPは公称60時間もつので心配はなかったが、SG-325は10時間、SG-329は4時間しかもたない。ま、予備の電池はあったのだけど。
 しかし例え電池がもつとしても、SG-329をおいそれと使用する気になれない。なんせ電池が1個548円(!)もするのだ。まさに最終兵器。
 昼間と同じとはいかないまでも、それなりに安心して下れた。

 ふと、後方より声が飛んできた。

 閣下「後がきてないよ!」

 なんですと!?

 閣下「みあぎ君のライトじゃ光量が足りないんだと思う」

 そういうことか……
 確か使用しているライトはサイクル用の一般的なもの。その中でも光量は多い方ではあるのだが、基本的に外灯のない真っ暗闇のダウンヒルを想定した物ではない。

 というか、普通のサイクリストは夜間の峠越えなんかしないっつーの。俺らがおかしいんだってばよ(笑)。

 ちょっと待っていると追いついてきた。閣下の予想通り、みあぎ君が「暗くてとてもスピード出して下れません……」とぼやく。はてさて、どうしたものか……

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